交通事故の損害賠償の対象となる損害と対象外の損害について
交通事故による怪我や物損についての損害賠償の法律上の根拠としては、民法709条、自動車損害賠償保障法がありますが、これらの法律では、何が賠償の対象となる損害で、何が対象外の損害であるのか明記されている訳ではありません。
これらの法律の解釈によって、「交通事故と相当因果関係のある損害」については一切が賠償の対象となりますが、その具体的な内容については、過去の裁判例の集積によって確立されてきました。
代表的な損害としては、怪我の治療費、通院交通費、自動車の修理費用などが事故によって発生した経済的負担や、休業損害や後遺障害による逸失利益など、事故がなければ得られた利益があります。また、交通事故によって怪我を負った場合、怪我の影響で日常生活に苦労するなど様々な心労があるため、入通院期間に応じて傷害慰謝料が認められ、更に後遺障害が残ってしまった場合、その等級に応じた後遺障害慰謝料も認められます。
このような典型的な損害以外の場合、加害者が加入する保険会社が損害を認定しない可能性があります。例えば、交通事故により歩行が困難となり、自宅をバリアフリーに改築した場合の家屋改造費や、事故により寝たきりになってしまった場合の付添介護費などについては、金額の相当性などを巡って保険会社が争ってくることもあり、最終的な解決のために裁判をしなければならない可能性もあります。
ただ、高額な費用の支出を余儀なくされたにもかかわらず、裁判の結果、損害と認められなかった場合、全て自己負担となってしまうことになってしまいます。
このため、交通事故で重傷を負ってしまった場合など、上記の典型的な損害以外の支出が見込まれる場合などには、お早めに弊事務所まで御相談下さい。