示談交渉に必要な書類の集め方
2017.09.01
交通事故の示談交渉に必要な書類としては、以下の書類が挙げられます。
1 怪我・物損に共通して必要な書類
- 交通事故証明書
- 刑事記録(実況見分調書または物件事故報告書)
2 怪我の賠償に必要な書類
- 診断書・診療報酬明細書
- 休業損害証明書、事故前年の源泉徴収票
- 通院交通費明細書(通院にタクシーを利用した場合にはレシート)
- 後遺障害等級認定票
3 物損の賠償に必要な書類
- 自動車修理の見積書
- 車検証(所有者を確認するため)
- 交通事故によって壊れた物品の写真
- 3.の購入時のレシート(残っていれば)
以上につきましては、代表的な書類で、その他の補充資料も必要となる場合があります。
どのような書類が必要であるかについては、まずは交通事故の相手方である加害者が加入する任意保険会社の担当者に確認するのがよいと思います。ただ、担当者は、あくまでも相手方が加入する保険会社の担当者ですので、担当者によっては丁寧に対応してもらえない場合もあり得ます。
そのような場合、やはり交通事故を専門的に扱っている弁護士に相談するのがよいと思います。なお、交通事故の損害賠償では、通院の状況などによって、最終的な賠償額が大きく変わる可能性があります。このため、事故に遭われた場合には、なるべく早い段階で弁護士に相談し、何か質問事項があった場合に、直ぐに相談できる関係を築くことが重要と思います。
弊事務所では御相談料は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。
交通事故の損害賠償の対象となる損害と対象外の損害について
2017.05.01
交通事故による怪我や物損についての損害賠償の法律上の根拠としては、民法709条、自動車損害賠償保障法がありますが、これらの法律では、何が賠償の対象となる損害で、何が対象外の損害であるのか明記されている訳ではありません。
これらの法律の解釈によって、「交通事故と相当因果関係のある損害」については一切が賠償の対象となりますが、その具体的な内容については、過去の裁判例の集積によって確立されてきました。
代表的な損害としては、怪我の治療費、通院交通費、自動車の修理費用などが事故によって発生した経済的負担や、休業損害や後遺障害による逸失利益など、事故がなければ得られた利益があります。また、交通事故によって怪我を負った場合、怪我の影響で日常生活に苦労するなど様々な心労があるため、入通院期間に応じて傷害慰謝料が認められ、更に後遺障害が残ってしまった場合、その等級に応じた後遺障害慰謝料も認められます。
このような典型的な損害以外の場合、加害者が加入する保険会社が損害を認定しない可能性があります。例えば、交通事故により歩行が困難となり、自宅をバリアフリーに改築した場合の家屋改造費や、事故により寝たきりになってしまった場合の付添介護費などについては、金額の相当性などを巡って保険会社が争ってくることもあり、最終的な解決のために裁判をしなければならない可能性もあります。
ただ、高額な費用の支出を余儀なくされたにもかかわらず、裁判の結果、損害と認められなかった場合、全て自己負担となってしまうことになってしまいます。
このため、交通事故で重傷を負ってしまった場合など、上記の典型的な損害以外の支出が見込まれる場合などには、お早めに弊事務所まで御相談下さい。
後遺障害認定について
2017.04.01
一定期間治療を継続した結果、これ以上治療を継続しても症状の改善が困難であると担当医が判断した場合、「症状固定」として後遺障害の認定を受けることになります。
後遺障害認定にあたっては、まずは担当医に「後遺障害診断書」を作成してもらいます。
その後、損害保険料率算出機構という第三者機関に所属する自賠責損害調査事務所において後遺障害の認定を受けることになりますが、認定を受ける方法は2つあります。
第1の方法は、事故の相手方である加害者が加入する任意保険会社を通じて認定を受けるもので、一般的に「事前認定」と呼ばれています。この方法の場合、前述の後遺障害診断書の取付けも含め、任意保険会社の担当者が窓口となって手続きを進めますので、被害者の方が主体的に対応することなく後遺障害の認定を受けられるというメリットがあります。ただ、この方法の場合、後遺障害認定を受けた場合であっても、任意保険会社との示談が成立しない限り、保険金が支払われないのが原則となります。
他方、第2の方法として、加害者が加入する自賠責保険会社に対し、後遺障害認定と自賠責保険の保険金を請求するという「被害者請求」があります。こちらの場合、被害者がこれまでの診断書や診療報酬明細書等の後遺障害認定に必要な書類一式を揃えたうえ、自賠責保険会社に送付する必要があることから、少し手間がかかります。ただ、自賠責保険会社において請求に必要な書類一式や請求のしおりを用意していますので、これを取り寄せれば、被害者自身で準備することも十分可能と思われます。そして、この方法の場合、後遺障害認定を受けた際には、その等級に応じた自賠責保険金が直ちに支払われるというメリットがあります。
いずれの方法でも、前述の自賠責損害調査事務所で後遺障害の認定のための調査・判断を行うことは変わりがありません。
後遺障害については、症状に応じて第1級から第14級まで細分化されており、治療中の診断書や後遺障害診断書、更にはレントゲンフィルムやMRI画像から総合的に検討して判断されることになります。
なお、後遺障害認定に対して、予想外に低い等級認定がされたり、非該当と判断されたりした場合、「異議申立て」の手続きがあります。異議申立てにあたっては、専門医の意見書を用意するなどの準備が必要となることが多いため、御不明の点等ございましたら、ぜひ弊事務所まで御相談下さい。
過失割合の決め方
2017.03.01
自動車同士の事故や、自動車とオートバイ、歩行者との事故の場合であっても、赤信号のために停車中の自動車に追突したような一方の運転手に全く過失がない場合を除き、双方の過失割合が問題となります。
いわゆる過失相殺については、民法722条2項(被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる)を根拠としますが、事故態様に応じた具体的な過失割合を定めた法律はありません。
このため、過失割合については、過去の裁判例の集積から判断することになりますが、事故類型に応じて裁判例を調査することは極めて難しく、大変手間のかかることになりますし、示談までに長期間を要することになってしまいます。
このような問題を解決するため、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍が発刊されています。同書籍は、東京地方裁判所民事第27部の裁判官を中心に編集されていますが、同部は交通事故に関する裁判を専門的に取り扱っています。
同書では、自動車同士の事故、歩行者と自動車・オートバイとの事故、歩行者と自転車の事故、自動車同士の事故など事故の当事者の乗り物や歩行者に分類しつつ、分類ごとに具体的な事故態様に応じた過失割合が明記されています。例えば、交差点での自動車同士の出合い頭の衝突事故の場合、一方が走行していた道路が優先道路であったときには、優先道路を走行していた運転者と優先道路でない道路を走行していた運転者の過失割合は「10:90」となります。ただ、優先道路でない道路を走行していた自動車が明らかに先に交差点内に入っていた場合など、特定の事情が認められる場合には、上記の過失割合が修正される(具体的には、優先道路を走行する運転者の過失割合が10%加算される)という修正要素も記載されています。
上記書籍については、交通事故を扱っている弁護士や損害保険会社であれば必ず持っていますので、まずはご自身の交通事故の事故態様から見て、どの程度の過失割合になるのかを確認することが重要です。ただ、事故によっては必ずしも同書籍の分類に当てはまらない場合もありますので、そのような場合には、類似の事故態様からどの程度の過失割合になることが予想されるか確認されたい場合には、ぜひ弊事務所まで御相談下さい。